プレパラートの作り方

Slide preparation

作製の手順

1.実体顕微鏡下で植物の葉から絵筆を使ってカブリダニを容器(下の写真のようなもの)に入れたエタノール(70〜100%)に移す.エタノール内でカブリダニが動かなくなったら,プレパラート作製のステップ(2以降)に進む.なお,エタノール(70〜80%)を入れたチューブにカブリダニが保存されている場合,チューブから容器に移すか,直接,3の行程を実施する.

2.ホイヤー氏液1滴をスライドグラス中央に垂らす.

3.再び,絵筆で容器から,黒色ケント紙にカブリダニを移してエタノールを除去する.

4.柄付き針の先端にホイヤー氏液を付けてカブリダニを拾い上げ,ホイヤー氏液に沈める.カブリダニの外部形態を認識し,ホイヤー氏液の中で,背面を上に,顎体部を手前に配置する(位相差顕微鏡では像が逆転するので,顎体部を手前に配置すると,位相差顕微鏡で観察するときに顎体部が上方に位置するので,検索に必要な形質を認識しやすくなる).

sinking

5.空気が入らないように,ピンセットを使用してカバーグラスを静かにかぶせる.体内に卵を有する場合には,ピンセットの先端でカバーグラスを押して体内の卵を潰すか,卵を体外に追い出す.また,ピンセットの先端で,カバーグラスを時計回りに回すと虫体が反時計回りに,反時計回りに回せば,虫体が時計回りに回る場合がある.

6.カバーグラスにサンプルの位置を油性マーカーなどで記す.1頭の場合には丸で囲むと観察しやすい.複数個体を同時に包埋している場合には,包埋個体の近くに点などを記す.カバーグラスが12mm角など,観察範囲が比較的狭い場合にはマーカーによる指示は必要ない.

coveringmoving

7.スライドグラスの左側に,サンプルの採集日,採集者,採集場所,寄主植物などの採集記録などを明記する.スライドグラスの右側のスペースに種名などを記す.

8.42℃〜45℃程度のホットプレートまたは恒温器などで50〜70時間程度加温する.

9.作製してから1ヶ月が経過したら,カバーグラスの周縁にマニキュア(トップ&ベース用透明エナメルなど)を塗って,ホイヤー氏液の蒸発とホイヤー氏液への気泡の侵入を防ぐ.ただし,マニキュアは一時的な封入剤として使用するものであり,永久標本を作製する場合には,カナダバルサムやクリプトール,ソーンのセメントなどで封入する.